業務のあり方を変える ~次の10年に向けた変革~

 本年度より情報基盤センター長を拝命しました齋藤と申します。AI/DX推進担当の副学長と兼務であり,本学の情報系業務の推進役として本学情報基盤のさらなる高度化にむけて努力してまいります。

 世の中ではDXからAIXへと関心が移りつつありますが,本質は一貫して「業務と組織の変革」にあります。本センターでは,デジタル技術や生成AIを単なる導入対象としてではなく,業務のあり方そのものを見直す契機と位置づけ,本学における業務変革を継続的に推進していきます。そのために,既存業務システムの更新時には本センター職員がシステム設計段階から直接関与することで,個別最適化になりがちなシステムを全学的視点で最適化しなおすことで業務変革を実現します。これにより,実際の業務における負担軽減やミス削減などの具体的な成果に結びつけることを重視します。本センターは,こうした変革を主導すると同時に,必要な技術基盤を提供することで,全学的な取り組みを支えていきます

 昨年度は,業務変革の具体例として2つの取り組みを実施しました。

 1つ目は,修論提出業務の再構築です。従来はExcelを用いた情報収集に依存しており,入力ミスや集計作業の負担が大きい状態でした。これをWebシステム化することで,入力プロセスを改善してミスの抑制を実現するとともに,700名以上の論文提出に関わる事務作業を大幅に削減しました。あわせて,会議資料の自動生成を可能とし,属人的な作業に依存しない運用を実現しています。

 2つ目は,事務用シンクライアント環境の廃止と新たな端末環境への移行です。従来の環境は安全性を担保する一方で,柔軟性や運用効率に課題がありました。これに対し,Intuneを基盤とした端末管理とクライアント証明書を組み合わせることで,従来環境と同等の安全性を保ったまま,場所や利用形態に柔軟に対応できる環境へと移行しました。これにより,従来の固定的な環境を前提とした働き方から,より機動的な働き方への転換を実現しました。本年度はVPN環境の整備を完了させ,シンクライアントシステムの完全終了を実現します。

 今年度の重点施策として,学内設置の生成AI基盤の試験運用を開始します。外部サービス利用時に懸念される情報漏洩の制約を解消し,機密性の高い情報を扱う業務においても生成AIを活用できる環境を整備します。このサービスは,外部サービスと比較して最新情報への対応や大規模データ処理には制約があるため,入試問題や重要書類の校正や,内部資料の整理といった,情報流出が特に懸念される業務において実用的な活用を想定しています。

 以下,2025年度の当センターの取り組みの一部を簡単に紹介させていただきます。

キャンパス情報ネットワーク(MAINS)関連

  • 次期MAINS仕様策定を行いました。2026年8月に次期システムに更新いたします。
  • 本部棟および保健センター改修に伴う無線アクセスポイントを再配備しました。
  • 中央スイッチと演習室間を直通させる構内光配線工事を行いました。
  • サーバー証明書発行支援ツールについて,中間証明書の仕様変更を伴う改修を行いました。
  • クロスルート証明書の不具合およびサーバー証明書の有効期間短縮を見据えたFQDN移行作業を実施しました。

情報基盤システム関連

  • マルチモーダルユニファイドコミュニケーションシステムIP-PBXを更新し,あわせて迷惑電話拒否システムも更新いたしました。
  • 統一DBをWeb APIで利用できる仕組みを構築しました。近日中に公開予定です。
  • 施設DBの開発および公開を行い、学内システム(統一DB,MAINSDB,ワークフロー)への部屋情報等の情報提供を開始しました。これにより、学内データの統一管理にまた一歩近づきました。

事務系システム関連

  • IntuneによるノートPC管理基盤と,クライアント証明書によるMAINS-O を運用開始しました。
  • ワークフロー
     業務フロー見直しによる業務負担削減支援
     旅行簿/就業管理システム連携
  • 事務システム
     学生勤務管理システムの各種改修
     人事給与システム/給与明細システム間の業務フロー改善支援
     次期財務会計システムのための他機関視察
     学生相談システム/学生健康診断システム/物品管理システムの改修

セキュリティ関連

  • 学外公開ホストの脆弱性調査の自動化

教育系システム関連

  • 修論提出システムの開発
  • 学術論文公開システム開発
  • 新学生掲示板の開発

生成AI関連

  • センターChatBotの改善
  • 学内設置生成AIサーバーの準備と設置

利用者サポート関連

  • ユーザーズガイドやセンターウェブの定期的な更新
  • 学生センター等の窓口スタッフとの連携強化,窓口対応用PC増強,窓口スタッフ増員によるサービス向上
  • ITサポート窓口スタッフ不在時の予約対応システム活用

 今後は,安全に利用可能な生成AI環境も活用して,業務負担の軽減と意思決定の迅速化を進めていきます。本センターは,技術導入にとどまらず,業務の変革そのものを主導する組織として,本学の持続的な発展に貢献していきます。


2026年4月
情報基盤センター長 齋藤彰一