国立大学法人名古屋工業大学 情報基盤センター

ICT基盤の完成形

2015年から始まった本学のICT環境整備が整いました。2016年から開始したSkype for BusinessおよびIP電話の全面展開と,BLEビーコンを使った位置情報の提供,2016年8月にMAINS中央スイッチの更新と各フロアのスイッチの段階的更新,さらに2017年3月には5年に一度の本学のICT基盤の全面更新により,一連のシステム導入は完成しました。ユーザーには1~2日のサービス停止以外は全く影響がないよう熟慮を重ねた結果,数百にも及ぶ課題を解決しながらの更新作業となりました。

基盤システムの更新に当たり,最重要視したのが安定性と高速性です。特にシステム性能の鍵となる二次記憶に関しては,教育用端末からサーバーまでの全ての二次記憶装置を,従来のハードディスクではなく半導体ディスクで構築しました。特に事務のシンクライアントユーザーや教育用端末のログイン時の性能では,この高速性を享受して頂けるものと思っております。また,基盤システムの全面更新は単にコンピューター資源が数倍になっただけでなく,SHA1脆弱性などに対応したICカード認証システムの変更や,Windows ドメインに参加していない教員のPCをドメインに参加可能にするなどの認証連携のさらなる進化,事務用シンクライアントのマルチメディア対応によるSkype for Businessの通話機能の実現,外部クラウドとのシームレスな連携によるBCP対応など様々な新機能を導入しました。特にMicrosoftのSkype for BusinessとTeamsの連携により,本学の学生を含むコミュニケーションプラットフォームの可能性は飛躍的に向上しています。今後はBLEを利用した位置情報利用アプリとの連携も検討しています。

以下は昨年度の活動報告の一部です。

教育環境
  • 学生の利用環境改善のために学生サポート窓口を開設し,利用者対応を大幅に拡充しました。
  • Moodleのバージョンアップを行いました。
  • 創造教育課程やクオータ制の導入による統一DBなど様々なシステムの変更を行いました。
  • 教務システムの更新による様々な連携作業を行いました。
  • Nitechピロリンアプリを夜間残留届システムとして拡張し,学生の夜間滞在の状況を容易に調査できるようになりました。
  • Nitechピロリンアプリの時間割機能の機能向上を行いました。加えて休講などの変更情報を送信できるプッシュ機能を導入した次期バージョンを近日中にリリース予定です。このバージョンでは教員が当日など急な休講を容易に学生にプッシュ通知で連絡できる“教員モード”も実装する予定です。
事務環境
  • 事務用NASを構築し,大量のデータの保存に対応しました。
  • 事務ワークフローシステムを完全に内製化し,処理速度の改善やインターフェースの改善など,作業効率の向上を図りました。今後も改善する予定なので,要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
  • IP電話交換機に着信拒否番号を登録できるシステムを構築しました。さらに複数の人が登録した拒否番号を共有できる機能も開発しました。
基盤システム
  • MAINS中央スイッチやMAINS管理サーバ群を更新しました。この更新により研究用メールの容量を50GBに拡張しました。
  • IP電話の音質向上を目的としたQoSを導入しました。
  • データーバックアップだけでなく,BCPを考慮した外部クラウドとの連携システムを試験導入しました。
  • SINET5 L2VPN接続サービスを利用したJGNの仮想ネットワークサービスに接続しました。
  • 学外公開サーバに対して脆弱性診断を行い,脆弱性が除去されないサーバの公開を停止しました。
  • VPNに関して,セキュリティー向上を目的に接続ログの送信頻度の増加と接続先の追加を行いました。
外部連携・活動
  • 国立情報学研究所が行う,"大学間連携に基づく情報セキュリティ体制の基盤構築試行運用",“大学の情報環境の在り方検討会オープンサイエンス対応 WG”に参加し,次世代システムの情報収集を行っています。
  • 大学ICT推進協議会で発表し,最優秀論文賞を受賞しました。

さらにユーザーには見えないところで様々な改良と開発を行っています。特に認証基盤とID連携に関しては,本学では,統一認証基盤のみをただ一つの認証,ディレクトリ基盤とする方針の下,さまざまな連携を行っています。例えばIP電話の内線電話番号,Skype for Business,さらにはOutlook(Exchange)の連携など,可能な限りの連携を行って事務コストの削減を図っています。しかし徐々には改善されていますが,まだ事務には古いやり方や,人事異動など人の移動による仕事のやり方の変化や,電子化に堪えない事務処理の導入,間違えたデータが流通する環境が未だに残っているのは残念に思います。

ネットワークの運用は毎日が戦いです。外部からの攻撃のログ解析とファイアウォール設定変更,インシデント対応,学内ネットワークのトラフィック監視とリソース配分変更など気が抜けない状況です。ただ皆様のご協力もあり,我々情報基盤センターは人員の少ない中で,新聞で報道されるようなセキュリティインシデント(情報流出など)が起きていないのは,これら活動の成果だと考えております。

また,昨年度キャンパス内に設置したBLEビーコンですが,出欠システムや夜間残留届システムの利用だけに留まらず,目の不自由な方向けの音声位置案内システムも試作しました。今後はナビゲーションシステムへの発展も考えております。BLEビーコンを利用したスマホアプリのサンプルプログラムも公開していますので研究などに是非ご利用頂き,本学が位置情報利用の一大プラットフォーム基盤となることを期待しております。

情報基盤センター長
松尾 啓志
平成29年4月