ユーザーに見えるところのシステム開発,
見えないところのカイゼン

平成24年4月に,名古屋工業大学情報基盤システムは,おそらく大学情報基盤システムとしては日本初の全面仮想化システムとして生まれ変わりました。全面仮想化により,サーバー・事務デスクトップクライアント・ディスク・ネットワークのすべてに仮想化技術を導入し,資源の動的・柔軟な割り当てを実現しました。

現在,情報基盤システムは,事務局シンクライアント用VMを除いても200台以上の仮想サーバーが動作しているとともに,それらのほとんどが高度に連携したシステムとなっています。このような類を見ない挑戦は,導入直後からユーザに見えるところで少しの,見えないところで大量のトラブルが発生することになり,情報基盤センターのスタッフは対応に追われました。

以下はユーザに見えるところでのシステム開発・カイゼンの一例です。

教育環境

  • 教育用PC端末のOSをWindows7 64bitに変更(2013/4)
  • スマートフォン・タブレットに対応するとともに様々な機能向上が行われたMoodleを2.3.3にバージョンアップ
  • 各クラブのWEBサイトを学内で構築可能なホスティングサービスの開始
  • 研究ポートフォリオシステムMaharaの本格運用開始
  • プリンタ認証に,携帯電話を利用可能に拡張
  • 授業評価システムの独自開発

 

従来紙ベースで行われてきた授業評価システムを本学独自で開発することは,迅速かつ確実な収集だけでなく,さまざまな角度からデータ解析を行うことが可能となり,Moodle,Mahara,ICカード出欠システムなどと含めて今後の教育IR(Institutional Research)への展開に対しての備えも行いました。

研究環境

  • 統一DBに登録された全論文の機関リポジトリ原則公開に伴う論文収集システムを付属図書館と連携して開発
  • 国立情報学研究所が運用中の学術認証フェデレーション学認(URL https://www.gakunin.jp/ja/)の本格運用開始とuApprove対応
  • 学認およびEZproxyを用い,学外からでも電子ジャーナルの利用を可能に

 

特に名工大の教員が発表した学術論文を,著作権問題をクリアーにした後,原則全面公開する決定は,国内の大学としては先進的な取り組みであり,今後の進展についても期待しています。

事務環境

  • 情報収集システムおよび共有Excel(OnSheet代替え)・大型装置利用予約・車両入構ゲート管理・公開講座申し込み・包括ライセンスダウンロードシステムの独自開発
  • 円滑なコミュニケーションを目指してたユニファイドコミュニケーションシステムLync2010評価運用開始(2012)と,2013年度早々にもLync2013の運用開始
  • 教職員用に名工大Twitterの運用開始
  • 長期保存が必須な事務情報の九州工業大学と相互バックアップ連携締結と環境構築

 

従来は事務局から,教員に対して行われる情報収集は,事務局<-->各部局長<-->各教員という流れが一般的でした。しかもExcelの添付ファイルを電子メール経 由で行う形が日常化していました。これでは,各段階で人手によるコピー&ペーストを行う必要があり,多大な業務負担となっていました。新規開発した情報収集システムは,情報基盤センターとしての一つの解法だと思っています。是非とも事務局として積極的に利用して頂くよう切にお願い申し上げます。

基盤システム一般

  • VPNシステムの再構築を行い,基盤IDのみで接続可能に(2013/4) ※ポータルへのログインはICカードが必要
  • モバイル端末向け音声対話システムの開発
    本学で開発された3Dキャラクタ付き音声対話システム「メイちゃん」をモバイル向けに展開し,オープンキャンパスにおいて高校生に学科案内やキャンパス案内などの音声対話サービスを提供しました。
  • 無線LANローミングサービスeduroamの拡充
    本学の12ヵ所にeduroam用無線APを新規設置し,来学者の無線LAN利用の利便性を向上させました。

卒業生支援

  • 従来同窓会単科会単位で行われていた卒業生データベースの作成を一元収集,運用可能な卒業生DBの作成
  • 名工大卒業生全員に生涯利用可能な名工大ID・メールアドレス・メールシステムの開発

 

卒業生の方への各種サービスや情報の提供は本学の必須の課題となっていました。情報基盤センターは卒業生連携室と連携し,様々なシステム開発を行いました。

このように様々なシステム開発,業務改善提案を行ってきました。 ICTの積極的運用は,e-キャンパス構想を中期計画・中期目標内で表明している名古屋工業大学において重要な位置を占めています。 情報基盤センターは今後とも,様々システム開発を含む学生・教職員へのICTサービスの提供,ICTを介した業務改善提案を進めていきますので, 積極的なICTの利活用を御願いいたします。

情報基盤センター長
松尾 啓志
平成25年4月