進化 × 深化
それが名工大のIT環境。

早いもので、情報基盤システムが稼働してから4年が経ちました。導入後も情報基盤センターでは積極的にカイゼンを行うとともに、学内のeキャンパス化を推進しています。

平成22年度も様々な拡張、改良に加えて新規システムの開発を行いました。以下はその一部です。

学習環境の向上

シラバスの質をさらに向上させるために、Moodle上のシラバスシステムの改良を行いました。

危機管理対応

学生および教職員安否確認システムを開発するとともに、今回の東日本大震災時に利用しました。

統一データベースの拡充

MAINS関連の設定情報を統一データベースで一元管理するともに、ユーザーが容易に設定を確認できるシステム開発を行いました。このシステムにより各自のサブネットやIPアドレスで、どのような設定が行われているかの確認が容易となりました。さらに職員向けに、より統一データベースの利便性が増すような機能(CSVの利用やExcel関数による統一データベースへのアクセスなど)を追加しました。

また、新教務システムや学生なんでも相談室システムとの連携を強化し、必要な情報は統一データベースで管理、提供する枠組みをさらに広範囲に広げました。

しかし、学生や教員において統一データベースで管理すべき情報を、依然として事務方より入力や更新を促されることが続いているのは残念なことです。

名工大キャンパス情報ネットワーク「MAINS」

平成22年1月の新MAINSの導入以来、旧MAINSでは頻発していた配線ループ・ウイルス攻撃によるネットワークの全面停止や大幅な速度低下の発生をゼロにしました。同時に外部からの攻撃による計算機への進入や、進入された計算機から外部への踏み台攻撃も皆無となりました。

また、平成23年3月にSINET4へ移行し、対外接続を従来の1Gbpsから10Gbpsに増速しました。さらに、希望研究室にはサブネット単位で特定のウェブサイトの閲覧をフィルタリングするサービスも開始しました。

加えて、近日中に学内内線システムをVoIP(Voice over Internet Protocol)化し、スマートフォンなどで内線を利用可能なシステムのテスト運用を行う予定です。

新システムの開発・導入

正門付近のデジタル掲示板の行事予定欄に、教員が情報を入力することのできるシステムの開発を行いました。これにより学内で行われるすべての行事が、この掲示板で表示されることを期待します。

語学システムにおいてもALC NetAcademy 2では新たな教材が追加され、システムが大幅に更新されたATR CALL BRIXでは、より柔軟でインタラクティブな学習が可能となりました。また、新たな語学システムであるOne Campusも追加導入しました。

さらに、利用者の立場から設計した新備品管理システム(4月下旬提供予定)を含め、電子ワークフローシステムで申請できる処理の多様化もおこないました。

さて、MAINSに続いて平成24年3月頃には情報基盤システムも第2世代にバージョンアップします。

  1. 従来からのネットワークの仮想化に加えて、サーバー仮想化、ストレージ仮想化、デスクトップ仮想化を加えた、全面仮想化情報基盤システムを実現します。学内情報基盤システムの全面仮想化は非常にチャレンジングではありますが、プライベートクラウドの究極の形であり、来るべき大規模クラウド時代に向けた試みとして、工科系単科大学に恥じない先進的なシステムを導入します。
  2. 学生ポータル、教職員ポータルとも、新システムに移行します。両者とも現在の固定的なポータルとは異なり、情報基盤センター側で新しい機能を追加可能な“進化するポータル”となります。新ポータルは現行ポータル運用で得たノウハウや利用ユーザーからの意見を可能な限り反映することで、最大限に使いやすいシステムとして再設計しました。同時に業務ワークフローシステム(電子ワークフロー)も新システムに移行します。
  3. 現在のICカード+PKI認証をベースとしたシングルサインオンシステム(SSO)は継続するとともに、次世代の認証機能も取り入れ、さらに進化させていきます。

ICTの世界は「クラウド」というキーワードの下に激変しています。情報基盤センターは変化を恐れず、常に先進的な環境に挑戦して行く覚悟です。

来年当初からは新システムへの移行が始まります。移行作業は来年5月頃まで続く長期戦となる予定です。学生の皆様にはできる限り各システムの停止期間を少なくできるような移行体制を考慮しますが、停止時期などは適宜、情報基盤センターウェブサイトでアナウンスさせていただきます。また教職員の皆様におかれましては、設定変更や現行ポータル内のファイルの移行作業など、様々なご負担をお願いする必要があります。教職員全員の少しの協力により我々の膨大な移行作業コストをかなり軽減することが可能となるので、是非ともご協力をお願い致します。

情報基盤センター長
松尾啓志
平成23年4月