学内ユビキタス環境を実現した新MAINSと
次期情報基盤システムに向けて

平成22年度は,新MAINSの完成からスタートしました。新MAINS(Meikoudai Advanced Information Netowork System)は旧MAINS最大の特徴であるMAC アドレスベースのダイナミックVLANを継承するとともに,以下の改善を行ったネットワークです。

  1. 利便性の向上
    機器接続申請無しに,基盤IDで接続可能な認証システムを構築しました。当然統一データベースと連携しており,研究室のVLANにも自動的に接続することが可能です。
  2. 可用性の向上
    旧MAINSでは,ネットワークケーブルの人為的配線ミスや,学外からのノートPCを経由したウイルス持ち込みにより,ネットワーク全体がダウンすることがありました。そこで新ネットワークでは,これらの障害に対する対策を行い,事実上ネットワークダウンを0にしました。
  3. セキュリティと利便性の向上
    従来サブネットベースであったアクセスコントロールを,IPアドレス・ポート毎に設定可能としました。この設計変更により利便性を損なわずに,学外に公開しなければならないIPアドレスを最小限にしました。また外部からの攻撃を自動的に遮断したり,P2Pファイル交換を遮断する侵入防止システム(IPS)も導入しました。
  4. ユビキタス環境の充実
    2.4GHz/5GHz両バンド対応,かつ次世代プロトコルである802.11n(5GHz)にも対応した無線LAN基地局を400台以上設置し,学内ほとんど全ての場所で高速(最大300Mbps)にインターネットにアクセス可能な学内ユビキタス環境を実現しました。

新MAINSは,次期中期計画・中期目標で掲げられている電子化キャンパスを十分に支えることが可能なネットワーク基盤として完成できたと考えております。また無線LAN利用では,ゲストアカウントを即時発行可能なシステムも開発しました。是非とも使って頂き,本学のネットワーク環境をPRして頂ければ幸いです。

次に,開始後3年が過ぎた情報基盤システムですが,昨年度も着実にカイゼンを続けました。情報基盤センターとしては,数えられないほどの拡張・改良を日々行っていますが,以下に一例を挙げます。

  1. 危機管理対応
    新型インフルエンザを含む非常時に学生などに一斉に連絡を行うことが可能なシステムを開発しました。
  2. 学習環境の向上
    Moodleをバージョンアップするとともに,最新学習モジュールの導入や,学生生活実態調査など電子化アンケートシステムも開発しました。さらに学生ポータルでは掲示板の携帯対応の機能を強化しました。
  3. 統一データベースの拡充と高度利用
    利用範囲を着実に拡大させ,研究者データベースや備品情報データベース(近日公開),MAINS WEB認証・残留届・入退館システムとの連携など,学内のメタデータベースとして重要な役割を持つまでに成長しました。
    さらに統一データベース上に職員名簿も作成し,領域,教育類,専攻,センター,委員会など,さまなまな身分による検索を可能とするとともに,学内グループウエアと連携することにより,より組織を意識したグループウエア利用を容易に実現可能としました。
  4. ICカード出欠システムの高度利用
    教員側インターフェースの拡張を行い,学習指導など,より広範囲に利用可能なシステム構築を行いました。
  5. さらなる電子事務局化に向けて
    電子ワークフロー,ファイル宅配便などの既存システムに関しても,常にカイゼンを行い,利便性の向上や機能の追求,組織変更への対応を行いました。実は目に見えない部分ですが,情報基盤センターではこのような目に見えないシステム改良や組織変更への柔軟な対応が重要な仕事となっています。
    さらに,各種委員会資料を,会議前に教職員ポータルに公開するシステムを,学術情報課と共に導入しました。このシステムと電子ペーパー・ノートPCを結合することにより,学内会議のペーパレス化,および会議資料の電子アーカイブ化を実現しました。
  6. ウェブページと広報活動
    情報基盤センターのウェブページも日々更新と改良を続けております。特に障害対応とFAQのページを設置し,過去の情報の整理と共有が可能な設計としました。
  7. セキュリティ向上
    ネットワーク経由で利用可能なオンラインストレージとオンライン表計算システムを導入することにより,重要ファイルを安全に保管可能であるとともに,利便性も損なわないシステムを開発,導入しました。

早いもので導入後4年目を迎える情報基盤システムですが,更新が2年後(2012年3月)に迫っています。従って今年度中に次期基盤システムの仕様の骨格を固める必要があります。3年前の導入時はほとんど全てのシステムが新規導入ということもあり,ユーザー(特に本部事務の方)の意見を仕様にフィードバックすることはできませんでしたが,次期基盤システムでは予算やシステム構成が許す限り,ユーザーの意見をシステムに反映させたいと考えております。従って様々なアイディアを情報基盤センターにお寄せ頂ければ幸いです。

情報基盤センター長
松尾啓志
平成22年4月